2011.04 「ミラノサローネ(iSalone)視察レポート」
2年ぶりにミラノサローネを視察してきた。同時にミラノには行くのは2年ぶりだったので色々な事が違って見えた。
展示会とは全く関係ないが、ミラノに着いて気がついた事がいくつかあった。中央駅地下部分の改修がほぼ終っていたり、ガリバルディ駅周辺の再開発による多数のビルが建設中であったり、いくつかの地下鉄の駅は改修され綺麗になっていたり、ドゥオモの修復も順調に進んでいる様だった。ミラノはファッションやデザインなどですでに有名ではあるが、今度は街としても一つ成長している様子がうかがえた。

さて、ミラノサローネだが既に知られている通り本会場であるロー・フィエラと市街地に点在する展示やイベントによるフォーリ・サローネによって主に構成される。本会場では、今年は毎年行われる国際家具見本市に隔年開催のユーロ・ルーチェという照明の展示会が同時に行われた。どちらの展示会も世界に類をあまり見ない規模の展示なので、広すぎる為に全て見る事が至難の技。そこで今回は国際家具見本市の中でも一流企業の集まる「デザインゾーン」とユーロ・ルーチェに的を絞って視察してきた。フォーリ・サローネでは、今では大変有名になったトルトーナ地区とトルトーナ地区程ではないが展示がたくさん集まるブレラ地区を主に視察してきた。
先述した通り、本会場では家具のデザインゾーンとユーロ・ルーチェに的を絞った。まずは隔年開催のユーロ・ルーチェへ足を運んだ。印象としては、どこもLEDに非常に力を入れてきているという事。見渡せばLED以外の光源を見つける事の方が難しい位だった。この傾向は、日本で視察したライティングフェアと全く同じ。ただ、日本と大きく違うのは電球や部品としてのLEDの使い方ではなく、照明器具としてLEDを使ってきているところだろうか。
次は家具のデザインゾーンへ。真っ先に目に入ってきたのはイタリアのプラスチック家具メーカー・カルテル社のブース。色ごとに分けられたプラスチック家具が照明に照らされ綺麗に展示されていた。 |
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他に気になったのは、有名デザイナーのフィリップ・スタルクがデザインしたイタリアの家具メーカー・マジス社の椅子。なんでもリキッド・ウッドなる素材を使っているとの事。見た目は、集成材の様に見えるが綺麗に作られていた。 |
本会場を回った後は、フォーリ・サローネへ。突然ではあるが、個人的に今回一番綺麗だったと思った展示はトルトーナ地区に出店していたキャノンだった。写真では非常に分かりにくいかと思われるので説明するが、プロジェクターを頂点として円錐状(放射状)に光ファイバー(PVCかも?)の様な透明な紐を張り、プロジェクターによって照らすというもの。紐が固定された壁面には文字が浮かび上がり、色が変わり、オーロラの様に変化していた。あまりの綺麗さにしばらく茫然としてしまったほど。もちろん、他にも綺麗な展示はあったのだが、今回はこれが一番だったように思われる。
この様に実際に色々見て、感じて、触れてきたが、こうした機会がある事が非常に大切だと思われるし、この為にミラノに来たと言っても過言ではない気がする。なぜなら、やはり写真で見るのと実際に感じるのとでは、あまりにも差がありすぎる。特にデザイナーを呼ばれる職業についている人間にとっては、まさにこうした機会、刺激が次へのステップやきっかけやアイデアに繋がっていく大切な経験だと思われる。 (designer Asami)
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