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MILAN REPORT backnumber
2007.06  ミラノサローネ2007報告

 今年も4月18日から23日までミラノで開催された家具の国際見本市(ミラノサローネ)。
今年で46回目を迎えたミラノサローネは、世界中から集まった家具メーカーやデザイナーが新しいトレンドを一堂に発表紹介するグローバルイベントである。期間中はフィエラ(国際会議場)のメイン会場の他に、ミラノ市内のショールーム、ギャラリー、スタジオでも家具や生活雑貨の新作展示、発表会が開催される。
最近では車、AV、サニタリー、通信機器などの展示も行われ、さながらリビングデザイン全般の見本市といった様相である。

さて、肝心のデザイントレンドであるが、今年はデコラティブな要素を落とし、フォルムやマテリアルで力強さを表現するデザインが多数見られた。一方でここ数年のトレンドであった花や小鳥、レースなどの繊細なモチーフは影をひそめた印象。最も使われていた素材はメタル。カラーもモノトーンとシルバー、三原色等、クールで本質的な印象を生み出していた。
写真はカッペリーニ社から発表されたnendoデザインのスツール「リボン」とマジス社から発表された深澤直人氏デザインのスツール「デジャブ」。

年々日本人デザイナーや日本企業の活躍が目立つミラノサローネ。今年はレクサス、TOTO、ヤマギワ、ソニー、JCV、NTT DoCoMo、三井不動産を含む30社に近い日本企業が出展。情報発信基地としてのミラノサローネの価値を日本企業が認め始めた証拠である。来年以降も日本企業の出展は続きそうだ。 (Kiriyama)
DESUS MILAN REPORT カッペリーニ社から発表されたnendoデザインのスツール「リボン」とマジス社から発表された深澤直人氏デザインのスツール「デジャブ」

 
2007.03  MAISON & OBJET 2007

 今年1月、欧州最大のインテリア見本市・メゾンエオブジェが開催された。今回は3,167社が出展、会期中の来場者は83,416名にのぼった。これは昨年同月の開催と比べ約9%の増加となる。EU諸国はもとよりアジア諸国からの来場者も近年飛躍的に増えており、国際的に重要なトレードショーとしての認識がより一層高まっていることがうかがえる。

そのような背景のもと、日本からの出展企業も増加の傾向にある。中小企業庁による「JAPAN BRAND育成支援事業」からは、パールカラーをまとったエレガントな漆器を提案するBITOWA(福島)や京都プレミアム(京都)、山形工房(山形)が出展。伝統技術とデザインとの融合によって生まれた製品を発表し、日本発のデザインの新たな側面を海外市場に広くアピールする機会となった。伝統産業の活路を求め、こうした海外進出傾向は今後も続いて行くだろう。
トレードショーという性質上、全体的にミラノサローネのような実験的でエッジの効いたものは少ないが、デザイン重視の「ナウ!」ではモダンで遊び心ある提案も。一方、FENDIやMISSONIなどのハイブランドも出展している「インテリアシーン」では、上質な素材や丁寧な作り、手仕事を感じさせる温かみのあるものなど、リュクスな印象を与える製品を数多く目にすることができた。カラーの主流はモノトーン系であるが、差し色として緑や青、シルバーなどが多用され、製品に彩りを添えている。
尚、私が総合プロデューサーを務めたJETROブース「JAPAN STYLE 2007 design meets craft」は、12の素材別に地域で意欲的に製品開発しているブランドを取り上げ、評価をいただいた。次回のメゾンエオブジェは今年9月に開催される。  (Kiriyama)
DESUS MILAN REPORTインテリア見本市・メゾンエオブジェ

 
2006.10

 9月10日、まだ若干の暑さの残る心地よい風が吹く快晴下で候ベネチェアヴィエンナーレはスタートした。ヴィエンナーレというとアートの祭典や映画の祭典をイメージされる方は多い。私がここで紹介するヴィエンナーレは、建築の祭典である。簡単に説明するとべネチェアヴィエンナーレでは、奇数年はアート、偶数年は建築の展示会が開催されている。このヴィエンナーレを見に世界中の関係者がベネチェアを訪れる。その理由は、次の時代を予測するうえで必見の祭典なのである。また、このヴィエンナーレはベネチェア経済を支える重要な資源となっている。
今年のヴィエンナーレのテーマは、イタリア語のCITTA=都市である。人口の増大、大都市への集中化、開発による環境問題、食糧問題など人類の進化は、同時にさまざまな問題も引き起こしてきた。都市が、人類が一番欲する問題に対して、建築がどう応えられるのかがテーマである。また、ネット環境によって世界的な同質化が始まっているものの民族間の諸問題や貧富の格差社会も顕在化している。現実を直視したうえで、私たちの役割を明確化する関係性の構築が必要である。歴史的建造物からなる水の都に酔い、新たな刺激を受け、ますますこの都市と自分との関係が深まる機会となった。 (Kiriyama)
DESUS MILAN REPORT
 
2006.4

ミラノサローネに通い始めて20年になります。当時、業界関係者だけでしたから、こんなメジャーな見本市になるとは想像もしていませんでした。 今年は、家具のほかにキッチン、オフィス家具の展示会の年でもあり、各社各様力の入った展示商談が連日繰り広げられました。 キッチンでは、最近の日本食ブームの影響か日本テイストの設えが目に入ります。 また、キッチンが設備機器といった領域からインテリア家具の領域へ大きくシフトしているようです。 傾向としてはデザインがナチョラルで、アルミやステンレスを使い、決して甘くならないほど良いバランスデザインがされていました。 タオル(ふきん)ハンガーやシンク等、細かな工夫が随所に見られキッチン機器のデザインが大きく変わろうとしている点が新鮮に写りました。(Kiriyama)
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桐山登士樹 Toshiki Kiriyama


デザイン動向の調査分析、企業プロジェクトに建築家・デザイナーをコーディネート、ブランド開発の企画プロデュース、世界の良質な建築・デザイン展の企画・運営を行う株式会社TRUNKを主宰。
これまで手掛けた展覧会には「クランブルックデザイン展」「アグレッシブ展」「MoMA ミュータント・マテリアルズ展」「フィリップ・スタルク展」「アキッレ・カスティリオーニ展」「Droog&Dutch Design展」「イタリアと日本 生活のデザイン展」「ステファノ・ジョバンノーニのデザインスーパーマーケット展」「80歳現役デザイナー長大作展」「ナディム・カラム展」「NEAR21 日・中・韓のデザイン展」「蓮池槇郎デザイン展」「世田谷の集合住宅展」「WE LOVE CHAIRS展」など多数。ブランド開発では、「LEXUS L-finesse」、「EGG FORM」「DESUS」「Benedetto」「BITOWA」など。共書に「ニッポンのデザイナー100人」(朝日新聞社)など。
現在、富山県総合デザインセンター デザインディレクター、YCSデザインライブラリー ディレクターのほか、Shiodomeitalia クリエイティブ・センター デザイン・プロデューサー。
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